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ジャパニーズサブカルチャーなブログ

《映画》「ネオン・デーモン」レビュー。久しぶりに感覚にキたシネマ。

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映画「ネオン・デーモン」を観ました。映画サイトの監督インタビューで美しすぎるカットを見たときから、ずっと見たかった作品です。細部までこだわってそうな雰囲気。徹底した世界観をこのカットは私に訴えかけてきました。


結論からいうと、私は★5つです。
音楽・ヴィジュアル・世界観すべてが良かったです。


●ファッションモデルの闇にスポット(ネオン)を当てた作品

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 人間の闇というとドロドロとして陰湿な一方、本能的な激しさを持ったイメージがあります。泣いて叫んで痛めつけて傷つけて、みたいな。
この作品ではそうした嫉妬・執着を中心に描かれているのですが、ずっと淡々としている。淡々と人々が他人を嫉妬し、何かにしがみつき、世界を見ている。そのことがただただ怖い。激しさを究極までに内に秘め、最後爆発するっていうにじり寄る恐怖が、逆に人間らしいなと。

 

●主演エル・ファングの未完成さがまた良い

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監督のインタビューを読んだから…ではないですが。
この物語の中は田舎娘が第一線のモデルとして、大御所カメラマンに気に入られ、他のキャリアのあるモデルたちを押しのけていく、といういわゆるシンデレラストーリーなのですが、決してそんなキラキラした描き方はされておらず、彼女が抜擢されるたびに注がれる「嫉妬・羨望の目」「冷たい目」「怒りの目」に潜む心理描写だけが続きます。

eiga.com

一流モデルの前で、まだ経験のないモデルを演じたエル・ファングの未完成な様子。
ひとりの少女のままで業界の目に晒される姿には、一種のフェチズムを感じます。

 

●「晒される」恐怖を味わう

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物語とは別に、カメラの動きは常に誰かの視線に「晒されている」状況が続きます。
「見られている」感覚を、映画を観る側が味わえる。
これはなかなか凄いなと思います。思考回路に訴えかけるのではなく、感覚に訴えかけてくるタイプの映画です。


●クライマックスに要注意(ネタバレ注意)

内に秘めた感情が最後に爆発して、ある者は殺人、ある者は倒錯行為へと移すのですが、私の苦手なカニバリズムもありまして、本気で気分が悪くなりました。美しいシーンを見続けた結末で、人間の最もグロテスクな様子が描き出されます。
しかしそれはやはり、ファッション=美をどこまで追求したとしても、人間は臓物に嫉妬や欲望を着せた醜い生き物だということを表現しているのかもしれません。


倒錯的・フェチズム性・グロテスク・耽美な世界観が好きな人には大変おススメの作品です。